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ウイルス・TSE・微生物クリアランス試験が必要なわけ

バイオ医薬品の多くは、ウイルス汚染が主な懸念事項となっています。ICH Q5A規制ガイドラインでは、人体に使用する生物由来製品の製造業者は、その製造工程で既知の汚染物質を除去または不活化できることを証明する必要があるとしています。バイオ医薬品のウイルス安全性を評価するための方法の1つとして、ウイルスクリアランス試験があります。

このほか、TSE、DNA、マイコプラズマ、エンドトキシン、細菌などの汚染物質の除去を確認する場合にも、同様の方法を用いることができます。一部のクロマトグラフィー工程では、たとえば、使用されるバッファーによりウイルスが不活化される場合があります。バッファーによる不活化の動態を独立した段階として研究することも可能ですが、そのウイルスがクロマトグラフィー工程でどのくらい分離されるかについては、感染性試験では示すことができないと考えられます。言い換えれば、クロマトグラフィー工程そのものによるウイルスの物理的除去については測定することができないということです。しかし現在では、Q-PCR試験の導入により、少なくともウイルスゲノムの除去または分離については、多くのクロマトグラフィー工程でも検討できるようになりました。こうしたQ-PCR試験は、感染性試験と並行して実施することができます。弊社では、通常用いられるウイルスの大部分について、バリデーション済みのQ-PCR試験を開発しています。

第I相またはII相臨床試験段階に達した医薬品のウイルスクリアランス試験としては、より少ない数のウイルス評価で事足ります。米国では、最低ひとつのウイルスを対象とした試験を1回実施します。欧州では、2種類のウイルスを対象とした試験を2回実施しなければなりません。ヒト血液産物由来のバイオ医薬品で、鍵となるウイルスとして選択されるのはHIVです。げっ歯類細胞株由来産物の第I相および第II相臨床試験では、鍵となるウイルスとしてMLVが選ばれます。規制当局は、早い段階で工程の全体的頑健性を示すために、そうした早期臨床試験にもうひとつ丈夫なウイルスを盛り込むように要求することが多くなってきました。弊社では、その目的にパルボウイルスモデルを推奨しています。

医薬品が第III相臨床試験の対象となる場合、多様な物理化学的特性を有する広範なウイルス種を高い再現性で除去する工程の性能を試験により確認する必要があります。このため、試験は4種類(組換えタンパク質およびモノクロなーナル抗体)または5種類(ヒト血液産物)のウイルスパネルを使用して通常2回ずつ実施されます。最近では、規制当局は、工程の頑健性に関するデータを示すことも要求しており、pH、温度、タンパク質濃度などの条件が極端な場合のデータを検討します。これらのデータにより、最悪条件下での製造工程でどれくらいウイルスが減少するかが示されるからです。

クリアランス試験の対象となる工程ステップの例は以下のとおりです。

  • 熱処理
  • 低温殺菌
  • 凍結乾燥/乾熱
  • 溶媒洗浄剤
  • pH処理
  • 低pH(カラム溶出)
  • 高pH 
  • 沈殿
  • エタノール
  • ポリエチレングリコール
  • クロマトグラフィー
  • イオン交換
  • アフィニティー
  • 疎水性
  • 逆相
  • ウイルス除去膜

クリアランス試験の実績がある医薬品例は以下のとおりです。

  • ヒトおよびウシ血液由来製品および凝固因子
  • ウマおよびヒツジ血液由来製品
  • ヒトおよび動物尿由来製品
  • 組織由来製品
  • モノクローナル抗体
  • 組換えタンパク質
  • 医療機器(コラーゲン由来製品など)
  • 酵素